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2007年 04月 25日
先週は来客が多かった。まず16日の月曜日にカリグラファの Gottfried Pott さんが会社に来てちょっと話した。こんどライノタイプの広報誌に載せる図版の協力を Pott さんにお願いすることになったらしい。打ち合わせというか Pott さんのプレゼンテーションを見せてもらう形になって、美しいアルファベットにため息をつきながら観た。Pott さんの言うには「J.S. バッハの『Das wohltemperierte Clavier』と同じコンセプトで、いくつかの単純なエレメントの組み合わせでコンポジションをするのだ、だからこれのタイトルは『Das wohlkalligrafierte Alphabet』だ」ということだった。でも、エレメントの組み合わせがまとまって字になったときに、つなぎ合わせみたいなギクシャクしたのでなくて、まとまって良いバランスになっているのが見事だった。
その後、昼食をとりながらPott さんとカリグラフィのことについて話した。ガイドラインとかぜんぜん引かないで書くという話を聞いてびっくりした。Pott さんは、こうおっしゃっていた。 「ガイドラインを引いておくというのは、ある目標をつくることになる。文字を書くときに、その目標よりも短かったり長かったりすると『失敗』ということになってしまう。結果的にフラストレーションがたまる。それは良くない。だから私はガイドラインを引かずに書く」。 なんだかカリグラフィの話だけにとどまらない、人生の教訓のようだなあと思って、良いことを教わった気がする。 そういえば、グレン・グールドの『Das wohltemperierte Clavier』のCDを数年前に買ったんだった。ときどき仕事中に聴いていたことがあって、音楽のことはほとんど知らないが、はじめポツンポツンという単純なピアノの音が途中から複雑に絡み合っていくのが面白いなあと思って漠然と聞いていた。しばらくしまい込んだままになっていたが、Pott 氏の話を聞いたのでまた引っ張り出して、ふーんと分かった気になって聴いている。 同じ16日の夕方、書体デザイナーのヨアヒムさんがストラスブールでの書体デザインゼミのあとベルリンに行っていて、実家のフライブルクに行く前に家に寄ってくれた。サンフランシスコの ATypI のホスト役を務めたときに過労で体調を崩してからずっと酒を断っていて、いまは元気で好きなバンド活動もやっている。DVDで彼のバンド「猫パンチ」のライブ演奏を見せてもらった。ヨアヒムさんはドラム担当。いきいきしていた。私は日本から買ってきておいたミニチュアの和食サンプルのおもちゃをヨアヒムさんにあげた。ヨアヒムさんの大好物のざるそばのミニチュアもある。 4月20日の金曜日、フランスから新しい書体の提案に V 氏が来社。彼が出版する楽譜に使われている書体のリリースについての打ち合わせ。昔の楽譜に使われていた書体をベースにしたもので、昨年見せてもらったときはやや粗削りな部分があったが、今回はそれがなくて実に良い書体に仕上がっている。 4月21日の土曜日、京平の日本人学校補習校の入学式に行った。京平の担任は周平の一年生の時と同じ T 先生だ! 京平も喜んでいた。 4月22日の日曜は、日本人学校でいっしょだったミホちゃんのお父さんが帰国直前に挨拶に来てくれて、いっしょにビヤガーデンで食事した。家族はもう一月前に日本に戻っていて、その後 G さんひとりでこっちに残って働いていた。G さんは、ドイツにいる間にクラシックのコンサートにできるだけ多く行きたい、と言っていて、その前夜もベルリンでコンサートを聴いてきたところだった。 なんだか音楽がらみの話の多い一週間だった。G さんの話を聞いて、なんだかクラシックのコンサートに行きたくなってきた。せっかくドイツにいるんだから、もっといろいろ楽しみたいと思う。 4月27日からのコンファレンス TypoTechnica が近づいてきて忙しくなってきた。プレゼンテーションの準備をしなくては。
by akobayashi_dnikki
| 2007-04-25 08:27
| 書体デザインについての話題
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