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2007年 01月 30日
森田さん、コメント欄では図版が載せられないのでここに書きます。
イタリックにすべき単語はイタリックで組んで、’s はローマン体で組みます。これは決まりなので、ぶつかりそうだから変えるということはできません。例えば、「Wabisabi」が本のタイトルであった場合に、森田さんが組んだ文章を読む人はイタリックの部分をたよりにその本を探したり注文したりすることになります。かりに「Wabisabi’s」全部がイタリックで組まれていたら、間違ったタイトルで探し始めなくてはいけなくなります。「 i とアポストロフィとがくっつくのを避けるためにそうした」という理由は読者にはおそらく伝わりません。(当然ですが、タイトルに ’s が含まれている場合はイタリックで組みます。) 残念ながら、現在のフォントのテクノロジーではローマン体とイタリック体とが別書体の扱いであるために、混ぜ組みでイタリック体の文字とローマン体の文字とがぶつかってもそれをカーニングで自動的に離す処理というのはできません。そこは、フォントの使い手にちょっと手間をかけて頂きたいところです。イタリックの単語が i や f で終わる場合、アポストロフィの前を少し空けて、くっつかないように調節をお願いします。その手間はほんの数秒ですが、かなり読みやすくなります。そういった細かい配慮の積み重ねが、読みやすい組版につながると思います。 東京 TDC のセミナーの後の質問で、「間違った使い方」をしないよう気をつける一方で「ルールにしばられすぎないこと」も大事だと言われて戸惑った方がいました。気持ちはよく分かります。それに答えて、組版ルールは、代々受け継がれてきた出版社と読者との間の約束事なので、それだけは勝手に変えない方が良いと書きました。今回の森田さんのご質問が良い例だと思います。ご質問ありがとうございます! また質問してください。 余談ですが、これは私の書体 Clifford のファンが Clifford を使って組んだ小説の一部分です。ここでは話者が本のことを取り上げていて、そのタイトルが『More Things Any Boy Can Make』なので、Make まではイタリックです。疑問符はタイトルの一部でないので、そこだけローマン体です。全体をご覧になって分かると思いますが、実にしっかりして良い組版です。
by akobayashi_dnikki
| 2007-01-30 14:18
| 書体デザインについての話題
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